― 実務で見てきた「どこも通らない会社」の共通点

「何社申し込んでもファクタリングの審査に通らない」
「独自審査と書かれているのに、結果は同じだった」
「理由が分からないまま、どこも通らない状態が続いている」
こうした悩みを抱えている方は、決して少なくありません。
実務の現場でも、同じような相談を何度も受けてきました。
そして多くの場合、共通しているのは
「なぜ通らないのか」が整理できていないことです。
結論から言うと、ファクタリングの審査に落ち続けるのは偶然ではありません。
通らない会社には、実務的に見て共通する“構造上の理由”があります。
この記事では、財務の現場で実際に見てきたケースをもとに、
なぜ審査に落ちるのか、どこを整理すべきかを解説します。
審査結果は、申し込む前から結果がほぼ決まっている
ファクタリングの審査というと、
申し込みの際に提出する書類や、説明の仕方によって
結果が左右されると考える方が少なくありません。
しかし、業者側の視点に立つと、
審査の判断材料はそこまで多くありません。
見ているのは一貫して、
「この売掛金は、予定どおり回収できるのか」
という一点です。
つまり、審査で重視されているのは
申し込み時の印象や説明の巧拙ではなく、
申し込む時点ですでに出来上がっている取引の状態です。
たとえば、売上は確かに立っているものの、
その売掛金が単発の取引だったり、
取引開始から日が浅かったりすると、
業者側から見ると「継続性が見えない案件」に映ります。
また、請求書は発行されていても、
入金条件が曖昧だったり、
過去の回収実績がほとんどなかったりする場合も、
慎重な判断にならざるを得ません。
申込者の立場では、
「実際に仕事をして発生した正当な売上」
であっても、
業者側はあくまで
第三者として回収できるかどうか
を冷静に見ています。
この視点の違いを理解しないまま申し込みを続けると、
「理由が分からないまま審査に落ちる」
という状況が繰り返されてしまいます。
「審査が緩い」口コミに期待しても、結果が変わらない理由
「独自審査だから通るかもしれない」
「個人事業主でも審査が緩いと書いてあった」
こうした口コミや広告に期待を持って申し込む方は少なくありません。
ただ、業者側の立場で考えると、
どれだけ独自の基準を持っていても、見ている核心はほぼ同じです。
ファクタリング会社は、金融機関のように長期で貸すわけではありません。
だからこそ、「短期間で確実に回収できるか」をより厳しく見ます。
たとえば、売掛金の金額が小さく、
その入金が一度きりで終わる可能性が高い場合、
業者側にとってはリスクに見合わない案件になります。
また、「審査が緩い」という言葉が使われるサービスほど、
実際には条件に合う人が限定されているケースも多いのが実情です。
条件に合えば早いが、合わなければ容赦なく落ちる。
この点はあまり表に出てきません。
「どこも通らない」ときに、実務では何を確認するか
「どこも通らない」という状況に陥ったとき、
多くの方は「次はどの業者に申し込むか」を考えがちです。
しかし、実務の現場ではその前に、
必ず立ち止まって確認する順番があります。
それは、業者が見ている「回収できる構造」が、
本当に成り立っているかどうかです。
まず確認するのは、
売上や請求書そのものではありません。
その売掛金が、いつ・どこから・確実に入ってくるのか
という一点です。
たとえば、売上は立っていても、
入金予定が先延ばしになりやすい取引だったり、
相手先の支払条件が曖昧だったりすると、
業者側からは不安定に見えます。
また、売掛先が複数あるように見えても、
実際には特定の一社に依存しているケースもあります。
こうした状態は、申込者自身が思っている以上に、
審査ではマイナスに働きます。
ここで重要なのは、
「通るかどうか」を業者任せにしないことです。
自分自身で、業者と同じ目線で状況を整理する
必要があります。
その整理のために使われるのが、資金繰り表です。
ただし、資金繰り表は万能な解決策ではありません。
あくまで、
売掛金の入金時期と支払いの関係を可視化し、
回収構造に無理がないかを確認するための道具です。
※ 資金繰り表の具体的な作り方については、
資金繰り表の作り方|黒字でも資金が足りなくなる会社が最初にやるべきこと
で詳しく解説しています。
資金繰り表に落とし込んだ結果、
「この入金が遅れたら耐えられない」
「この売掛先が止まったら一気に詰む」
といったポイントが見えてくることも少なくありません。
実務では、
こうした弱点が見えた段階で、
すぐに「次の業者を探す」ことはしません。
まず検討するのは、
そもそも今、ファクタリングという手段が適している状態なのか
という点です。
たとえば、
入金時期を少し調整するだけで耐えられるのか、
支払いのタイミングを交渉できる余地はないのか。
一時的な資金不足なのか、
構造的に資金が足りていないのか。
この切り分けによって、
「今すぐ資金調達が必要なケース」と
「整理すれば回避できるケース」は分かれます。
そして、
資金調達が必要だと判断した場合に、はじめて業者選びに進みます。
この順番を飛ばしてしまうと、
自分の状況に合わないサービスを選び、
結果として審査に通らない、ということが起きやすくなります。
ファクタリング会社を比較する前に、整理しておきたい視点
審査に通らない理由が整理できてくると、
次に気になるのは「では、どの会社を選べばいいのか」という点だと思います。
ただ、ここでいきなり
「この会社が良い」「このサービスがおすすめ」
という話に進んでしまうと、判断を誤りやすくなります。
実務の現場で感じるのは、
ファクタリング会社には、それぞれ“向いているケース”がはっきり分かれている
ということです。
少額かつスピード重視のケースもあれば、
継続的な売掛金が前提となるケースもあります。
また、個人事業主向けに設計されたサービスと、
法人取引を前提にしたものとでは、
審査の考え方自体が異なります。
この違いを整理せずに、
「評判が良さそう」「審査が緩そう」という理由だけで選んでしまうと、
結果的に審査落ちを繰り返すことになりかねません。
だからこそ、実務では
自分の状況に合ったタイプのサービスを見極めること
を優先します。
具体的にどのような違いがあるのか、
主要なファクタリングサービスをタイプ別に整理したものを
ファクタリング会社の比較(少額・個人事業主向け含む)
でまとめています。
「どこも通らない」と感じている方ほど、
一度この比較を通して、
自分の状況がどのタイプに当てはまるのかを確認してみてください。
実務家として伝えたいこと
ファクタリングの審査に落ち続けると、
どうしても「業者が悪い」「運が悪い」と感じてしまいがちです。
しかし、実務の現場で見てきた限り、
通らない原因はかなりの確率で整理不足にあります。
構造を整理し、現金の流れを把握できれば、
選べる選択肢は確実に増えます。
反対に、整理しないままでは、
どれだけ業者を変えても結果は変わりません。
まずは現金の流れを整理し、
自分の状況を客観的に把握すること。
それが結果的に、
最も無駄の少ない資金繰り改善につながります。
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監修・執筆者:加藤ユウ(資金繰りナビ運営者)
・25年以上にわたり企業の資金繰り支援に従事
・融資交渉・キャッシュフロー改善を現場で推進
・ファイナンシャルプランナー(AFP)
資金繰り管理、融資交渉、業務効率化プロジェクトなどを歴任。
ファイナンシャルプランナー資格を保有し、法人・個人双方の資金戦略に精通。
現場で培った実務知識をもとに、正確で中立的な「資金繰り・ファクタリング」の情報をわかりやすく発信しています。





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