三社間ファクタリングとは?仕組み・メリット・二社間との違いを専門家がわかりやすく解説

三社間ファクタリングは、手数料の安さと信頼性の高さから
建設業・製造業・公共案件など、売掛金の金額が大きい企業を中心に
近年利用が増えている資金調達方法です。

しかし、

「二社間と何が違うのか?」
「三社間のメリットって本当に大きいの?」
「売掛先に通知されるってどういうこと?」
「どんな会社なら三社間を選ぶべき?」

といった疑問を抱える事業者も少なくありません。

三社間ファクタリングは確かに“王道かつ信頼性の高い方法”ですが、
メリット・デメリットのバランスが特徴的で、
二社間とは全く違う判断基準が必要になります。

本記事では、三社間ファクタリングの仕組みからメリット・デメリット、
二社間との違い、どんな業種や状況に向いているのかまで
専門家の視点でわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、

  • 三社間の仕組みがひと目でわかる
  • メリット・デメリットの本質が理解できる
  • 二社間とどう使い分けるべきか判断できる
  • あなたの会社に三社間が向いているかがわかる

といった“実務に直結する結論”まで理解できるようになります。

三社間ファクタリングとは?【仕組みをわかりやすく解説】

三社間ファクタリングとは、
「利用者(あなた)・売掛先・ファクタリング会社」の3者が関わる
売掛金の早期資金化サービスです。

通常の掛け取引では、売掛金の入金まで30~60日ほどかかりますが、
三社間ファクタリングでは以下の流れで資金を早期化します。

  1. 商品・サービスの提供(売掛金発生)
  2. 売掛金売却契約締結、ファクタリング会社が売掛先へ「債権譲渡通知」を送付、承諾を得る
  3. ファクタリング会社が利用者に買取金額を入金
  4. 売掛先は売掛金をファクタリング会社へ直接支払う

つまり、

売掛先がファクタリング会社へ支払う」
という点が三社間ファクタリングの最大の特徴です。

売掛先が支払い先をファクタリング会社へ直接変更する仕組みのため、

  • 手数料が大幅に抑えやすい(1〜5%程度)
  • 契約の透明性が高く、金融機関に近い安心感がある
  • 100万円以上の大口債権でも柔軟に対応しやすい

といったメリットが得られます。

一方で
売掛先に通知されるため、
業種や取引関係によっては使いにくい場合もあります。

三社間ファクタリングは、

「売掛先に通知しても問題がない」
「手数料を抑えて資金調達したい」
「100万円以上のまとまった金額を扱う」

といった企業に向いた仕組みです。

三社間ファクタリングのメリット

三社間ファクタリングには、二社間にはない大きなメリットがあります。
特に 手数料の低さ契約の透明性 は、事業者にとって大きな魅力です。

① 手数料が安い(1〜5%程度)

売掛先がファクタリング会社へ直接支払うため、
二社間(10〜30%前後)に比べ、手数料を大幅に抑えられます。

二社間ファクタリングの場合は、

売掛先には通知せず利用者(あなた)が売掛先から入金を受け取り

その後ファクタリング会社へ支払う

という「利用者とファクタリング会社の二社だけで完結する」流れになります。

この仕組みだと、“入金後の支払いリスク”が発生するため、
ファクタリング会社にとっては回収リスクが高くなります。

そのリスク分が手数料に上乗せされるため、
二社間は 10〜30%前後と高めの手数料 になりがちです。

一方で三社間は売掛先が直接支払うため、
ファクタリング会社の回収リスクが小さく、
1〜5%程度の低手数料で利用できる のが大きな特徴です。

② 契約の透明性・信頼性が高い

三社間ファクタリングでは、契約内容が売掛先にも共有されるため、
三者が同じ情報を持った状態で取引を進められます。
その結果、契約の透明性が高く、後から条件に疑義が生じたり、
支払いの行き違いが起きたりするリスクを最小限に抑えられる点が特徴です。

さらに、売掛先からファクタリング会社へ直接入金される仕組みは、
金融機関が行う債権譲渡や債権流動化の手続きに非常に近い構造になっています。
入金ルートが明確で、回収フローも整理されているため、
資金の流れが不透明になりにくく、外部から見ても理解しやすい形です。

このように契約内容が第三者にも確認され、
入金経路や書類の流れがクリアになっている三社間ファクタリングは、
資金調達手段としての信頼性が高く、経理処理や監査対応でも説明しやすい点が
“安心感のある方式”と評価される理由です。

③ 大口債権にも対応しやすい

三社間は特に 100万円〜数千万円規模の売掛金 と相性が良く、
大口案件でも対応可能な業者が多いのが特徴です。

建設業・製造業・卸売業など、売掛金が大きくなりやすい業種では
三社間を選ぶケースがよくあります。

④ 売掛先の信用力を活用できる

利用者自身の信用力だけでなく、売掛先の信用力も審査に反映されるため、
融資が難しい企業でも利用しやすいケースがあります。

「取引先は大企業だが、自社の与信が弱い」という場合に強みを発揮します。

⑤ 長期的な資金繰り改善に向く

三社間は手数料が低いため、
月次・四半期ごとに継続利用しても利益を圧迫しにくく、
長期的な資金繰り改善手段として安定して使えます。

三社間ファクタリングのデメリット

三社間ファクタリングには多くのメリットがある一方で、
利用する際に注意しておきたい点もいくつかあります。

まず、三社間では売掛先に対して「債権をファクタリング会社へ譲渡します」という
通知が必ず送付されます。
そのため、取引先によっては「資金繰りが悪いのでは?」と誤解を招く可能性があり、
売掛先との関係性がセンシティブな場合には使いにくい面があります。

また、三社間は売掛先からの承諾が得られて初めて取引が進む仕組みのため、
二社間に比べて手続きが多く、契約完了までに一定の時間を要します。
急ぎで資金が必要なケースでは、スピード重視の二社間のほうが適している場合もあります。

さらに、三社間は「売掛金の額がある程度まとまっていること」が前提となるため、
10万円〜30万円といった少額の資金ニーズには向きません。
建設業や製造業のように、案件ごとの金額が大きい業種では活用しやすいものの、
小規模事業者やフリーランスの場合は二社間を選ぶケースが一般的です。

このように、三社間ファクタリングはコスト面や信頼性で大きなメリットがある一方で、
売掛先への通知や承諾、手続きにかかる時間など、利用場面によっては不便さを感じる要素もあります。
自社の状況や取引先との関係性を踏まえ、三社間・二社間を適切に使い分けることが重要です。

三社間ファクタリングに対応している主な業者

三社間ファクタリングは、手数料が低く信頼性の高い仕組みである一方、
対応している会社が限られている点が特徴です。

特に三社間は、売掛先への通知や承認手続きが必要となるため、
一定以上の資金力や運用体制を持つ会社でなければ取り扱いが難しく、
「どこに相談すれば良いのかわからない」という声が多く聞かれます。

そこでここでは、三社間に対応している代表的なファクタリング会社をまとめました。
それぞれの手数料や特徴、対応金額の違いがひと目でわかるよう整理しています。

自身の業種や資金ニーズに合った会社を選ぶ参考にしてください。

サービス名 対応 手数料 対応金額 特徴 公式サイト
ビートレーディング 三社間OK 1〜5% 100万〜数億円 大口案件に強い。建設業・製造業での実績が多い。 公式サイト
B-SIDE 三社間専門 2〜5% 100万〜数千万円 三社間を中心に扱う専門会社。手続きの正確さに定評。 公式サイト
アクセルファクター 三社間対応可 1.5〜10% 50万〜数千万円 医療・介護・福祉業の売掛金にも対応する柔軟な会社。 公式サイト

三社間ファクタリングがよく利用される業種

三社間ファクタリングは、売掛先への通知と承諾が必要になる仕組みから、
すべての業種で気軽に使えるわけではありません。
しかし一方で、三社間と非常に相性が良く、現場でも利用が広がっている業種がいくつかあります。

ここでは、特に三社間ファクタリングが活用されやすい代表的な業種について解説します。

建設業(公共工事・元請からの債権)

三社間ファクタリングが最もよく利用されるのが建設業です。
建設工事は請求額が大きく、支払いサイトも長くなりがちなため、
手数料の安い三社間のメリットが大きく働きます。

元請が上場企業や大手企業であるケースも多く、債権の信用力が高いため、
ファクタリング会社にとっても扱いやすい債権です。

公共工事においても、契約書類が明確で支払い確度が高く、
資金繰り調整に三社間が活用される場面が増えています。

製造業(定期的な大量出荷)

製造業では、企業規模に関係なく売掛金の単価が大きく、
毎月まとまった金額が発生するため、三社間と相性が良い業種です。

売掛先が大手メーカーであるケースも多いことから、
通知・承諾のプロセスも比較的スムーズに進みます。
銀行融資だけではまかないきれない仕入れ資金の補填として利用されることが多く、
手数料を抑えながら長期的に資金繰りを安定させる手段として選ばれています。

卸売業(大口取引が多い)

食品・資材・設備などを扱う卸売業は、一件あたりの請求金額が大きく、
二社間より三社間のほうがコスト面で有利になるケースが多い業種です。

特に継続取引が多い業態では「通知しても関係に影響が出にくい」ため、
三社間が選ばれやすい傾向があります。

官公庁・公共案件(支払い確度の高い債権)

官公庁が支払い主体となる売掛金は、支払い遅延がなく信用力が非常に高いため、
ファクタリング会社にとってはリスクの低い“優良債権”に分類されます。
そのため、三社間でも手数料を抑えやすく、資金調達手段として活用されることがあります。

ただし、官公庁は債権譲渡の手続きが厳格で、通知書や承諾の手続きに時間を要する場合があります。
三社間の実績を持つファクタリング会社に相談することが重要です。

医療・福祉(医療報酬・介護報酬)

医療機関や介護施設の場合、報酬債権の入金にタイムラグがあり、
資金繰りの調整が必要となるケースがあります。
医療・福祉分野の三社間に対応している業者も増えつつあり、
運営資金や人件費調達のために利用されることがあります。


このように、三社間ファクタリングは
「売掛金が大口」「売掛先の信用力が高い」「長期的な資金需要がある」
といった特徴を持つ業種で特に力を発揮します。

反対に、少額案件やスポットでの資金調達では、
スピード重視の二社間ファクタリングのほうが実務に合う場合もあります。

どの方式が自社に合うか迷う場合は、まず比較から始めましょう

三社間ファクタリングは手数料が低く信頼性が高い一方で、
少額・急ぎの資金調達には二社間のほうが適している場合もあります。

自社に合う方式を判断するためには、
「三社間と二社間の違い」を具体的に押さえておくことが重要です。

下記の記事では、両者のメリット・デメリットをわかりやすく整理し、
どのような場面で使い分けるべきかを詳しく解説しています。

👉 三社間と二社間ファクタリングの違いを徹底比較(初心者向け)

また、少額・即日対応を重視する方はこちらの記事も参考になります。

👉 ペイトナー(Paytner)の特徴と注意点まとめ
👉 TRYのファクタリングは即日OK?実際の特徴を解説
👉 ククモ(QuQuMo)の手数料と審査ポイント

三社間に向いているのか、それとも二社間が良いのか。
迷ったときは、まず比較から始めるのがおすすめです。

ファクタリング以外の選択肢:請求書をカード払いにする方法もある

売掛金がない場合や、
「ファクタリングを使うほどではないが、今月の支払いが厳しい」
というケースでは、請求書をクレジットカードで支払うという方法もあります。

INVOY(インボイ)は、受け取った請求書を振込ではなく、
クレジットカードで支払えるサービスです。
支払いをカード決済に切り替えることで、
実質的に支払期日を延ばすことができ、資金繰りの調整に使えます。

借入やファクタリングとは異なり、
新たな負債を増やさずに一時的な資金繰りを乗り切れる点が特徴です。

監修・執筆者:加藤ユウ(資金繰りナビ運営者)

・25年以上にわたり企業の資金繰り支援に従事

融資交渉・キャッシュフロー改善を現場で推進

・ファイナンシャルプランナー(AFP)

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